電送人間 [変身物]

「電送人間」(1960年東宝)

監督 福田純  脚本 関沢晋一

出演 鶴田浩二 白川由美 中丸忠雄 平田昭彦 土屋嘉男  佐々木考丸  天本英世 

★・ストーリー

 戦争末期、新兵器の研究資料輸送を利用して旧軍隊の隠匿物資を横領しようとした
悪徳軍人グループによって殺されたはずの一兵士が生き残り、博士が開発途中の電送装置
を使って電送人間となって、警察の追及を交わし復讐を行う。目的を達成したものの、火山の
噴火に伴う地震により転送装置が破壊された為に無残な最期をむかえる。


◆・レビュー


 この当時東宝が制作した変身人間物シリーズの作品だが、敗戦濃厚な中で貴金属類を
横領し隠匿しようと企み、自分と博士を騙し殺害しようとした国賊軍人達への復讐劇という
要素が強い。シリーズの他の作品と比べて若干地味な感じがあるが、冷却装置を改造した
機械を利用して、生きた物体、人間を電送するというアイデアがユニークだ。
 しかも旧日本軍が研究開発を進めていた兵器という点が時代背景を強く感じさせる内容
の作品となっていて面白い。
 
 電送人間は、自分が狙った相手が逃げようが隠れようが、何処にいても、なぜか事前に
判っているとしか思えないのが非常に不思議だが、それを突っ込むと物語が進まないので
素直に受け入れる方が良い。それもまた恐怖を呼びおこす要因となっており、警察は電送
人間を追い詰めるのが精いっぱいで、逮捕まで至らないのだ。

 電送人間を演じた中丸忠雄の怪演が光る。無表情で不気味な雰囲気を漂わせ、
目的達成の為には、令徹な殺人マシーンとなる姿が印象的で恐怖を感じる。
 劇中に出てくる「大本営」という名前の軍隊バーや「銃剣魔」という表現が愉快だし、
旧軍隊の認識票が死の宣告となっている点なども、また制作当時の時代背景を表している。

 ボディーガード役で、若き日の「天本英世」が登場している。

 ★・この作品で電送人間を演じ、他の作品でも個性的な名脇役として活躍し楽しませて   くれた中丸忠雄さんは、本年4月に逝去されました。ご冥福を祈ります。

★・点数 70点
nice!(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

トラックバック 0

ガス人間第1号マタンゴ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。