怪奇大作戦 第12話「霧の童話」 [怪奇大作戦]

●・第12話「霧の童話」

監督 飯島敏宏  脚本 上原正三 特撮 的場徹

出演  岸田森 勝呂誉  松山省二 原保美 小橋玲子 小林昭二 
ゲスト出演 高野浩幸 吉田義男

◆・ストーリー

 山と小川のある豊かな自然に囲まれた長閑な山村だが、高速道路が通る事になり、
アメリカ資本の自動車工場誘致の候補になっている「鬼の村」に武田武将の亡霊が
現れるという。戦国時代に村人達が落ち武者を殺したタタリといううわさが広がる
が、不思議な事に亡霊を見るのは高速道路と工場誘致支持派の村人だけだった。
三沢は単身、調査に乗り込むが事件に巻き込まれて命を狙われる
◆・レビュー

 時代背景を現した非常に面白い作品になっている。
アメリカの自動車メーカ-の工場誘致という、現在ではほとんど有り得ない設定が
時の流れを感じさせてくれる。過疎地や有力な産業が無い地方ならば、このような
誘致話はありがたい事だと思うが、それを拒否するならば、農林業を基盤に質素に
生きていく選択をするしかないのだから、経済的な繁栄か自然と共に生きるかの
選択をせざるを得ないのだ。

 それにしても随分と手の込んだ反対運動を行うもので、戦時中に毒ガス部隊に
居た老人が首謀者なのだが、このように製造と使用が可能ならばテロ行為も十分に
行える。ほとんどゲリラ戦を挑んでいるようなもので、無茶、無謀だと思う。
霧が発生する中に、特殊なガスを発生させて幻覚を見せながら、武将に扮装した
反対派の人間が脅かしに出るのだが、これは犯罪行為だ。

 もし今、これと同じ事をやったら、「落ち武者の亡霊が出る村」として
「有力な心霊スポット」の一つになって人気が出てしまい、見物客が大勢集まって
来て、それを目当てに商売やイベントを作って過疎化対策にもなるかもしれない。
鉄砲水で村が全滅するというラストには、何かやりきれない感情が湧いてくるが、
ひょっとして、これこそ落ち武者の崇りではなかろうか。

「悪魔くん」の初代メフィスト役だった「吉田義男」が反対派の老人で熱演している。
「霧の童話」という題名がメルヘンチックで「老人たちの村への哀愁」を感じさせる
ドラマでもある。

★・点数 80点

nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。