怪奇大作戦 第16話「かまいたち」 [怪奇大作戦]

◆・第16話「かまいたち」

監督 長野卓  脚本 上原正三 特技 高野宏一

出演  岸田森 勝呂誉 松山省二 原保美 小橋玲子 小林昭二
ゲスト出演  浅野進治郎  加藤修  外波山文明

◆・ストーリー

 夜間に一人歩きしていた女性のバラバラにされた惨殺死体が発見された。
さらに同じ現場で第2のバラバラ殺人が起きるが、町田警部と牧で犯行の説が
怨恨か流かで意見が分かれるが、現場の状況と死体の状態からは「かまいたち」
のような現象が起こったとしか思えなかった。
 現場近くの工場で働く、集団就職で地方から出てきた一人の青年が容疑者に
浮かび逮捕されるが、取り調べに対して黙秘を続け、自分の世界に閉じこもって
しまい、事件の原因や目的どころか、彼の心の中さえも何もわからなかった。

◆・レビュー

 集団就職で都会へ出てきてブルーカラーに属する夢のなさそうな日常生活を
送る地方出身の若者の苦悩と絶望が表現されているのが判るだろうか。
普段は真面目でおとなしく、オドオドしている無口な青年で一見害悪を及ぼさない
平凡な人間に見えるが、そこからは彼の本当の内面を見る事が出来ない。

 彼を理解できない人には、女性をバラバラにする事が不満や怒りのストレスの
吐け口だったのだろうと推測するだけなのだ。

 犯行の理由も社会や自分の置かれた立場への不満も、何一つ話さずに黙秘
し続ける事が、実は彼からのメッセージになっているのに気が付くだろうか。
「黙っているから何も判らない」のではなくて、その沈黙という行為自体が、彼が
心の奥底に蓄積している現状に対する不満や怒りと、それを打開出来ない絶望感の
底知れない深さを教えてくれる。口に出しても自分の置かれた現状が改善される保証は
何もないのだから、不満や怒りを言葉や文字で表わしても無駄と諦めているのだ。

黙秘を続けて自分の殻に閉じこもる行為には、そういう意味があるのだ。

そのような考え方や生き方を「不平や不満を言葉に出せば、改善出来る見込みのある
環境に居る人達」には、理解できないと思われる。
60年代~70年代に、中卒や工業高校卒や中退という学歴で社会に出た人ならば、
華やかだった高度成長期の時代の中でさえ、なにがしかの不条理な体験をしている
場合が多かったのが、社会の実情だと思われるのだがどうだろう。

★・点数100点

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