怪奇大作戦 第23話「呪いの壷」 [怪奇大作戦]

◆・第23話「呪いの壺」

監督 実相寺昭雄  脚本 石堂淑郎  特撮 大木淳

出演  岸田森 勝呂誉 松山省二 原保美 小橋玲子 小林昭二
ゲスト出演  花ノ本寿 北村英三  松川純子 

◆・ストーリー

 5人の老人が掘り出し物の壺を鑑賞中に怪死する。神経線が赤く変色、視神経は
完全破壊という異様な死に様だった。太陽光線を浴びるとリュート線を出し周囲を
破壊する危険な物質を使った犯行で、背景には、市井家から偽壺作りを強制されて
きた日野家との複雑な関係があった。


◆・レビュー

 長年の怨念が積もった末の復讐劇である。
余命が残り少ないと悟った日野(花ノ本寿)は、代々続く無念さを晴らすべく復讐の
行動に走る。尾行されているのを承知というよりは、わざと尾行させるように仕向け
、拠点を案内するような言動と行動をとるのだが、まるで、この日が来るのを待って
いたかのようだ。
 市井家のまやかしが発覚し、復讐劇が完遂されると確信した時の、「ザマーミロ!」
とでもいうような、ある種の満足感、達成感の心情がよく表現されている。
日野は通常の犯罪者のように、犯罪行為を隠蔽して逃走するのではなく、
市井家と取り巻く環境への全ての恨みと、不条理な仕組みと矛盾を世間に曝け出して
徹底的に破壊し消滅しようとする。

 自分一人が自殺して消えるのではなくて、恨みの根源の全てを、物理的にも精神的
にも、何も残さずにこの世から消してしまいたかったのだろうし、それを実行し成功
したのだ。それがラストの寺院の延焼で象徴されているように思う。

 遺書を残して自殺するのではなく、自分も含めて何も残さずに消して道ずれにして
やるという点では日本的ではなく、少し異質な行動形態を感じるが、これもまた恨みの
晴らし方の一つの手段として否定できない。

 寺院が延焼するシーンは、本当に実物が燃えているのではと錯覚するほどの迫力で、
円谷プロの面目躍如といって良いだろう。

 脚本を担当した石堂淑郎の才能が十分に発揮された、テレビ番組の一つの回に留めて
おくのがもったいないような力作であり、この回の物語だけで一本の映画作品として
制作するのが出来るのではないかと思わせるほどだ。

★・点数100点  
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