ノストラダムスの大予言 [超能力]

ノストラダムスの大予言(1974年東宝)

監督 舛田利雄  脚本 八柱利雄  著作「ノストラダムスの大予言」五島勉
特撮 中野慶昭

出演 丹波哲郎 黒沢年男 平田昭彦  山村総 志村喬 
    由美かおる  稲野和子  司葉子 小泉博
ナレーター 中江真二   予言の声(詩朗読)岸田今日子

◆・ストーリー

「西山家」(丹波哲郎)は、先祖代々伝わるノストラダムスの「諸世紀」の内容を大衆に
説法し、江戸時代~太平洋戦争中と、その都度、倒幕や日本の敗戦などを唱えて、
時の権力者によって人心を惑わす危険人物と見なされて弾圧され続けた。そして戦後も
同様に、自然破壊や環境汚染、核戦争の危機などを訴え続けた為に政財界から厄介者
扱いされていた。しかし予言の説法通り、世界各地で次々と不気味な現象や事件が発生
、まさに人類終末の時が近づきつつあった。




◆・レビュー

 「1999、七の月、空から恐怖の大王が降って来る」という詩でお馴染みだ。
当時、爆発的なヒットと終末論の一角を担った「ノストラダムスの大予言」
(五島勉著作)の映画化という事で、ベストセラーと世間の評判に乗っかった
「キワモノのセコイ便乗映画」かと思った人も居た事だろう。
 実は自分も映画館では観てない。しかしこれが意外に面白かった。
ノストラダムスが残した4行詩の予言と、著者の勝手な解釈に基づいているものの、
実に上手く一本の作品にまとめ上げたと評価したい程の出来である。
江戸時代に諸世紀が日本に伝わっていたという方向に持っていくとは、かなり強引な
展開だが、その発想力と創造性を買いたい。

 全体的に「ノストラダムスの大予言」というよりも「丹波哲郎の大予言」みたいな
雰囲気を醸し出す程に、丹波哲郎の存在感が全面に出てきて他を圧倒してしまう。
さすが霊界の宣伝マンと公言していた通り、凄まじいまでの情報発信力で説法する
独演会である。役者というよりも宗教団体の教祖様みたいだ。まさに適役と言えるし、
あるいは丹波哲郎が居たからこそ、このような内容のストーリーが描けたのかも
知れないと思える。

 内容は単なるパニック映画ではなくて、人類に対する警告と啓蒙になっているから、
ある意味、教育映画ともいえる。自然の摂理に反して便利さと身勝手な生活を優先
させて環境破壊を続ける現在の生活様式を続けると、このままでは人類全体に悲劇的な
運命が待っているというわけだ。それが「大気汚染」「オゾン層の破壊」「異常気象」
そして「奇形児の大量発生」「食糧危機」と繋がり、行き着く先は「核戦争」で、
もし生き残っても放射能の影響で怪物や妖怪のような姿になってしまうだろうという非常に
怖そうな内容だが、これはホラー映画ではない。
 ここでは「空から降って来る恐怖の大王」を強烈な紫外線の照射や、核が搭載された
大陸間弾道弾による複合の恐怖という解釈がされている。またこの作品の特徴は、
悲劇を興味本意に扱うのではなくて、現在の生活習慣を変えて物欲に走らずに質素に
生きましょうという理念に基づいた教育啓蒙映画なのだ。

 現在は、DVDもビデオも正規のルートでは発売されていない為に入手不可となっており
、またテレビ放送や映画館での上映も困難な状態らしいのが非常に残念である。
放送禁止?そんな堅い事を言わずに、毎年8月6日と9日にゴールデンタイムで放送して
ほしいものだ。自分は友人が持っていたDVDを借りて、初めてこの作品を観る事が出来た。
友人に感謝したい。以前は、海賊版が秋葉原で出回っていたという情報もあるが、
最近は見かけないようだ。



 バレエ教師役の由美かおるの意味不明のダンスが必然性もなく出てくるのだが、妊娠して
無事出産可能と診断された喜びを、ダンサーらしくダンスで表現したという事であろう。
やはり由美かおるファンならば必見かもしれない事を記しておく。

◆・点数80点 
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