地球防衛軍 [科学]

 「地球防衛軍」(1957年東宝)

監督 本多猪四朗  脚本 木村武 特撮 円谷英二  音楽 伊福部昭  原作 丘美丈二郎

出演
佐原健二 平田昭彦  藤田進 志村喬 白川由美 河内桃子
土屋嘉男 大村千吉 中丸忠雄 ジョージ・ファーネス 

◆・ストーリー

 盆踊りの夜、謎の山火事が起こる。さらに山崩れと陥没により部落が一つ丸ごと
地中に飲み込まれ、突如現れた奇妙なロボットが襲ってくる。火星と木星の中間に
位置して破滅した惑星「ミステロイド」の生き残り「ミステリアン」の仕業だった。
彼らの要求は半径3キロの土地と、地球人女性との結婚で共存を求めていたが、
実は地球侵略の前触れに過ぎなかった。やがてミステリアンは、はるかに進んだ科学力を
背景に、その危険で邪悪な本性を現し要求をエスカレートさせていく。
ミステリアンの存在を察知して、その高い科学力に陶酔していた白石博士(平田昭彦)は
彼らに協力するが、騙されている事に気づき内部から破壊工作を行う。

 要求に屈服せずにミステリアンとの戦いを決意した人類は地球防衛軍を結成し、
地球の科学の粋を集めた新兵器「マーカライト・ファープ」熱線砲を装備した飛行艇
「α(アルファ)号」「β(ベータ)号」を開発して対抗する。


◆・レビュー

 東宝というよりも、日本SF映画の傑作である。宇宙人との科学力と工業技術の大きな
差を僅かの時間に対抗出来るように埋めて新兵器を開発したりなど、この手の映画に
ありがちな矛盾と御都合主義に満ちたストーリー展開と状況設定というパターンはあるが、
ここでは、円谷プロが誇る特撮技術と異星人との戦いを楽しむ事にしよう。
 「マーカライト」や「熱線砲」といった原水爆に頼らない超科学兵器を考案して戦いを
挑むというのが、外国の昔の宇宙戦争物との違いではなかろうか。原水爆の使用を否定
するならば、当然このような新兵器を登場させるのは理に叶ってるし、戦闘シーンが、
見る者の胸を踊らせて期待感とダイナミックな展開を生む要因になっているのだ。
 確かに御都合主義だが、なんだか本当にすぐに凄い兵器を作れそうな気分になってくる
から不思議だ。これが空想科学映画の特徴でもあるのだ。

 ミステリアンは「地球の石器時代に水爆を持っていた。人類が使用したら、こちらも使用
して報復する」と脅してくるが、これは凄いと思う。はるか大昔、地球の石器時代の頃の
武器を実戦配備している。もしくは武器庫に保管しているのか判らないが、とにかく使用
可能な状態にあるのだ。そこまでいくと、物を大切にするどころか、物持ちが良すぎる。
恐ろしくケチな宇宙人といえよう。あまり友達にはなりたくない。
そもそも、そんな大昔に水爆を開発した科学力と軍事力があるならば、今現在は、
更に想像を絶する兵器を保有しているはずだ。あるいは、人類の持っている原始的な兵器
を自由にコントロール出来て操作を不能にしてしまうといった事も可能ではないか。
例えば現在でも、UFOに接近した際に、機械や計器がコントロールできなくなったという
例が報告されている。それならば、水爆なんかよりも効果的な兵器を持っているはずだし、
それが自然だと思う。1957年当時には、そのような発想が生まれなかったのであろう。

 渥美博士(佐原健二)が色々聞かれても「判りません」といって俯くシーンが多いが、
頼りないというイメージが強いだけの科学者になってしまっているのも残念だ。
もっと気の利いたセリフや表現方法はなかったのだろうか。

 ミステリアンも結婚相手の候補に白川由美(白石江津子役) 河内桃子(岩本広子役)
を選ぶあたりは、さすがに目の付けどころが高いと思うが、美女ばかり指名されたら困る。
本当に共存する意思があるなら、よほどのマニアでなければ近寄りがたいブスやデブも
指名して、ちゃんとバランスをとるべきなのだ。
 それに子供が欲しいならば、スタイル抜群の女性よりも安産型の体型の方が望ましい
のに、これでは共存するなどという言葉を疑問に感じるのが普通だと思う。

また「大村千吉」が、山火事に巻き込まれて最初に死ぬ役を順当にこなしている。

★・点数85点

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