ウルトラQ・第2話「五郎とゴロー」 [ウルトラQ]

第2話「五郎とゴロ-」

監督 円谷一  脚本 金城哲夫  特殊技術 有川貞昌
出演      佐原健二  桜井浩子 西條康彦  田島義文
ゲスト出演  土屋嘉男  鈴木和夫  桐野洋雄 二瓶正也 

巨大猿ゴロー

◆・ストーリー

 天城山のロープウエイに、突然巨大な猿が現れた。
聾唖者の未青年「五郎」が可愛がっていた【猿のゴロ-】が「青葉くるみ」という
特殊栄養剤を食べ過ぎて甲状腺に異常をきたし巨大化してしまったのだ。
「五郎」はゴローに与える食料を盗んだ事で警察に逮捕されてしまうが、
ゴローが後を追って街に出てくる。


◆・レビュー 

 子供の頃に両親を亡くし、村人からエテキチと呼ばれるほどの猿キチガイで、
猿だけが仲好しという孤独な聾唖者の未成年と猿の友情物語である。
猿と接している時の五郎の眼が輝き、生き生きとしているのに気がついただろうか。
人間には誰にでもそういう時がある。たとえ僅かな時間であっても、他人から見たら
取るに足りない事でも、その人にとって本当に大切な瞬間だ。
それは人生を振り返った時に楽しかった思い出になる。
五郎がゴローに接しているシーンからはそういう事を感じ取れるのだ。
 
巨大猿のゴローを攻撃して退治するのではなくて、眠らせて同類の居るイーリアン島
へ運ぶという平和的な解決方法を選択するのが普通の怪獣映画とは異なる展開だ。
だから戦車も戦闘機も出動しない。
というわけでこの回は、ヒューマニズム溢れる内容になっている。

「聾唖者の青年」といっても、ほとんどの人が具体的にはサッパリ判らないと思うので、
判り易く一言で言うと「おし」である。言葉が不自由と言っても、どう不自由なのか全然
判らないだろう。つまり口がきけない人だ。
実際、劇中では「おし」という表現が使われている。

 エテキチと聞かされても若い世代はピンとこないだろうが、昔は何かに狂ったように
取りつかれて熱中していた人の事をマニアではなく、「~キチガイ」を略して【~キチ】
という呼び方をしていた。

 劇中、イーリアン島の取材の絡みで、「土人」という言葉が出てくる。
嫌悪感を持つ人もいるだろうが、しかし、そういう言い方、表現方法を使っていた時代も
あったのは事実なのだ。しかも「おし」である事をバカにされるシーンもあるが、
都合の悪い過去の歴史を否定して目を閉じ耳を塞ぎ、無かったようにする方こそ、
むしろ間違っているのではないだろうか。
 だから昔のテレビ番組や映画の音声をカットしてはいけないのだ。

◆・点数95点

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