未知空間の恐怖・光る眼 [宇宙]

★・未知空間の恐怖・光る眼(1960年イギリス)

監督 ウルフ・リラ 原作「呪われた村」ジョン・ウインダム
出演 ジョージ・サンダース バーバラ・シュワ- マーティン・スティーブンス

◆・ストーリー

 ミッドウイッチ村で突然停電が発生し、村全体が外界から遮断、隔離された状態になり
次々と不思議な現象が起こった。しかしそれは一時的な現象で、無事復旧して何事も
なかったように見えたが、信じられない事に村の出産可能な女性全員が妊娠していた。
 やがて産まれてきた子供達は発育が異常に早く【髪の毛】【爪】【目】に地球人とは
異なる特徴があった。彼らは成長するに連れて不思議な力を発揮するようになる。
 念力で自分達の障害になる大人達に危害を加え、ついに殺人まで犯し、実質的に村を
支配してしまった。実は子供達は、村を支配する為に宇宙人が地球人女性の身体を借りて
産ませたのだった。
 不安を抱き抵抗する村人を説得して最後まで彼らを擁護してきた科学者は、
危機的状況になってから責任を感じ、彼らを抹殺する為に時限爆弾を設置する。

◆・レビュー

 これは形を変えた地球侵略である。
空飛ぶ円盤や凶悪な宇宙人が現れて、怪光線を出したり圧倒的な武力で都市を破壊し
人類を抹殺するわけではない。武力ではなく超能力で精神的に支配し、知的生命体が
存在する他の惑星を乗っ取るのだ。それも人の弱みに付け込むという狡猾さである。
 女性を妊娠させて子供を産ませるのだから、異常や危険性を感じても、その時点では
処置は不可能であろう。年月が経ち人類が気がついた時には完全に手遅れになっている。

 会話の中で、世界各地で同じような子供が産まれており、 小型の核弾頭を使用して
村ごと殲滅したケースもあるという話が出てくるが、自分達の生存が脅かされ、生きるか
死ぬか、奴隷となるかという切羽詰まった状況の中で究極の選択を行ったのだ。
 それは蛮行ではなく人類救済の為の勇気ある決断である。
 もっと早い時期に決断していれば犠牲も出なかったし辛い選択もせずに済んだのだが、
その時に邪魔になるのがヒューマニズムである。
 ミッドウイッチ村では、愚かな一人の科学者がヒューマニズムを優先したばかりに、
取り返しのつかない事態を招いてしまったのだ。

 もし、日本で同じような事が起きたらどうなるだろうか。
お人好しでエセヒューマニズムが大好きで、議論の為の議論を繰り返し幻想や非現実的な
意見が注目されがちな国民性を考慮すれば、凶悪非道な異星人に完全に支配されて奴隷
かロボットと化し、科学技術と工業力を利用されて全世界&全人類に迷惑をかけると容易に
推測出来る。人類全体の安全と平和の為に、国連決議の下に核保有国からの核攻撃に
よって日本列島は焦土と化し、日本という国は無くなると予測する。
そのように考えたら、この作品は現在の日本人には警笛ともいえよう。

 時限爆弾を設置した科学者が、超能力を持った子供達に心を読まれるのを防ぐのでは
なくて、読まれてしまうのを前提にしてイメージを頭の中に描くような対策を立てるという
発想と、それを催眠術を使うのではなく自分自身で行う点に「自己責任の思考」を感じる。
さらに、それを表現するのに「レンガの壁を頭の中に描き」読まれるに従って壁が崩れ
落ちていくという表現がユニークで面白い。

点数・80点


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