スペースバンパイア [吸血鬼]

★・スペースバンパイア(1985年・アメリカ)

監督 トビー・フーバー  脚本 ダン・オバノン  ドン・ジャコビー
原作 コリン・ウイルソン  音楽 ヘンリー・マンシーニ

出演  スティーブ・レイルズバック  ピーター・ファース マチルダ・メイ
     フランク・ファンレイ  パトリック・スチュワート

◆・ストーリー

 1985年8月7日、悪魔の彗星と呼ばれる「ハレーすい星」が76年ぶりに地球に
接近した。調査に向かったチャーチル号(イギリス)が、すい星の陰に巨大な謎の宇宙船
を発見し調べたところ、内部には数千匹の巨大なコウモリの姿をした乗員の死骸と、
奇妙な事に男2人と女1人の全裸の人体が保管されていた。
 チャーチル号は地球に帰還する途中で音信普通となってしまい30日後に帰還したが、
船内には保管された全裸の人体だけが残っていた。
その謎の宇宙船は人類の生命エネルギーを吸収する目的で地球に飛来したのだった。
 蘇生し活動を始めた宇宙のバンパイアの襲撃によって、ロンドン市民が次々と仲間に
されて、互いに襲いあい精気を吸いとられていく。
街中がパニックになり地獄絵図のような惨状を救う鍵は,チャーチル号から脱出し帰還
したカールセン船長(スティーブ・レイルズバック)と女バンパイア(マチルダ・メイ)が
握っていた。

◆・レビュー

 宇宙から吸血鬼がやって来る。それも不気味な宇宙船に乗って。
ハレーすい星が発見当初は悪魔の星であり、地球最後の日が来ると信じられていたのだから、
吸血鬼伝承とハレー彗星と人類滅亡の危機の見事なコラボレーションといえよう。
 しかし、正確には精気(生命エネルギー)を吸収するのだから「吸精鬼」なのだが、
感染した犠牲者は生命エネルギーを吸収する為の媒体となって利用された挙句に次々と
死んでゆく。それが無慈悲に冷淡に、まるで狩りでもするように行われていくのが怖い。
凄まじいまでの大量殺戮と精気の吸収である。生命エネルギーが青白い炎と化しバンパイアを
中継して大気圏に浮かぶ宇宙船に吸収されていく映像は、すい星の尻尾を連想させる。

 バンパイアの容姿(この場合は女性の姿なのだが)は意味を持たない。
接近してきた生命体が、心の奥深く秘めて持っている想いを読み取り、理想的な容姿に
変身して実体化したのが、全裸で発見された女バンパイアなのだ。個人の願望に基づいた
理想的な全裸の女性を目の前にしたら、なにがしかの誘惑に駆られてしまうのは、
やむを得ないかも知れない。
しかし、もし本当の姿が「コウモリ」に似た不気味な生命体だったら、ハッキリ言って気味が
悪いし、SEXどころか抱き合うなんてとんでもないのだ。やはり初対面の異性に対しての
恋愛感情や情欲は容姿がいかに重要なウエイトを占めているのかを証明していよう。
自分の理想像そのままの全裸の女性を登場させて男性が吸い寄せられるという設定は、
ドラキュラに狙われた女性が魅かれてしまうというパターンの男女が逆になった形の変形
パターンのようなものだ。

 ここで登場する宇宙からのバンパイアが、吸血鬼ドラキュラ伝説の原点であり、
先祖が一度地球に来ているというファラーダ教授(フランク・ファンレイ)の推測が斬新で、
殺す方法も鋭い剣で心臓を一突きするのが効果的となっているのもバンパイア映画
らしくて良い。
なお、サルストン病院院長アームストロング役で、「スタートレック・ピカード艦長」の
「パトリック・スチュアート」が出演している。


★・点数 95点
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