エコエコアザラク (劇場版)Ⅱ [エコエコアザラク]

★・エコエコアザラクⅡ [The Birth Of the window]    (1996年)

脚本・監督 佐藤嗣麻子  原作 古賀新一  音楽 片倉三起也

テーマ曲 「月星夜ルシファー」アリプロダクツ

出演  
吉野公佳 白鳥智恵子  佐藤暁  四宝堂亘  大谷朗 天本英世
三橋貴志 北川悠  石倉民雄  角松かのり 富永アミナ

協力 日本電子工学院 工学院専門学校

◆・ストーリー

 謎のミイラが発掘されたが、それは西暦1880年、およそ100年前に滅んだと
されている魔術を使う人々の村・斉呀の村にまつわる物の可能性があった。
そのミイラは、一度死んだが魔術によって蘇り、恐ろしい魔力を持つ殺人鬼となった
霧江(富永アミナ)で、100年後に生まれる「黒井ミサ」(吉野公佳)が持つ強大な
能力を得る為に眠っていたのだ。
 復活した霧江は残虐な殺人を繰り返し、人から人へ乗り移ってミサに近付く。
何も知らないミサは生命の危険に晒されるが、予想される未来の大惨事を阻止する
使命を与えられて生き永らえていた若き斉呀(大谷朗)と行動を共にして秘められた
強大な能力の一端を示す。
◆・レビュー

 黒井ミサは、ただ逃げ回るだけで、いたずらに呪文を唱えて結界を壊したり、
足を引っ張るだけの存在となっており、第1作以上に気弱な女子高生の至らなさと
魔女の自覚の無い未熟さが強調されてしまっている。魔女としての豊かな資質は
持っているのだが、まだ開花していない段階で、「魔術を使う少女・黒井ミサ」に
相応しい役割は全く果たしていない。
 イメージしている黒井ミサとは全くの別人であり、エコエコアザラクとは別の物語が
描かれていると受け取られても仕方がない。そして戦う主役は、本来はミサを補佐
するべき若き斉呀だ。霧江との死闘が展開されて盛り上がるはずの後半部分で、
何か消化不良を感じてしまう原因がそこにあるのかも知れない。
 
 脚本内容と映像表現的には、テレビ版も含めた一連のシリーズ関連作品の中で、
この作品が最も低い評価をされても仕方がないだろう。途中から、魔術というよりも、
エスパーが超能力を駆使して戦うような展開になってしまい、ホラー映画特有の、
おどろおどろしさをあまり感じられない。身体を乗っ取られた翔子(白鳥智恵子)との
対決のシーンは、「ターミネーター」の模倣みたいだし、その都度、身体を乗っ取り
入れ替わっていくのは、設定は違うものの「スペースバンパイア」「ヒドゥイン」等、
あちこちの作品で見られるので、そのシーンを監督がよほどお気に入りだったか、
それとも他にアイデアや映像表現の発想が湧き出てこなかったかとしか思えない。
その辺りが、時として失笑を買ってしまう映像になり、また相当な不満を感じる要因
になると思う。キャスティングよりも、佐藤嗣麻子の監督と演出に問題があるのでは
ないか。全体的に、事件の出発点と進行状況、それにミサの周囲の環境は、興味を
持たせてくれる構成になっており、ダイナミックに展開するのだが、いかんせんミサの
精神的な弱さと魔術への無理解が強調されすぎている事で期待をぶち壊している
のが本当に残念だ。

 第1作同様に、吉野公佳よりも、脇を固める大谷朗、白鳥千恵子(翔子役)
天本英世(村の長老役)らの方がはるかに存在感を出しており、ホラー作品らしく演技
しているのは評価すべきだが、この作品は単なるホラー映画ではない。
「エコエコアザラク」なのだ。エコエコアザラクの物語をどのように進行するか、やはり
黒井ミサの位置づけという点で「監督&脚本の段階」に大きな問題があったように感じる。
 監督が「服部光則」「上野勝仁」「清水厚」あたりで「村井さだゆき」か「小中千昭」が
脚本を若干でも修正していたら、同じキャストでも相当に見応えのある作品になっていた
のではなかろうか。

 強大な能力を秘めているが、まだ開花していない女子高生という設定になっているの
だろうが、コミックの実写版という考え方でいくと、すでに魔女としてファンには認知された
存在なのだから、そのような設定で構成する事に無理があったのではないか。
つまり企画段階でも問題が多かった事になる。そして、この第2作目でもミサと関わった
周囲の人たちを誰も救えなかったのである。
 
★・点数 60点
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