死国 [霊界]
◆・死国 (1999年・東宝)
監督 長崎俊一 脚本 万田邦実 仙頭武則 原作 坂東眞佐子(角川文庫)
出演 栗山千明 根岸希依 大杉漣 筒井道隆 夏川結衣
諏訪太朗 神津はずき 佐藤充
主題歌 「僕は雨となり星となる」米良美一 作詞 かの香織 作曲・編曲・門倉聡
協力 愛媛県野村町惣川地区 八ツ鹿保存会 佐川町立青山文庫 船渡の森三島神社
◆・ストーリー
故郷へ帰省した明神比菜子(夏川結衣)は、親友だった日浦莎代里(栗山千明)の
死を知らされる。祭りで再会した幼馴染の秋沢文也(筒井道隆)との友情が愛情へ発展
していく中、死んだはずの莎代里の霊が現れ、やがて村内でも次々と霊的現象が発生する。
日浦家は特殊な能力を持った家系で、莎代里の母親(根岸希依)が、16歳で死んだ
莎代里を黄泉の国から復活させようと、危険な儀式を行っていたのだ。
深夜、日菜子と文也が日浦家を訪れると、ふすま15枚に、1枚毎に88枚、
四国88ヶ所のお寺の御札が貼ってあったが、寺を回る順番が逆回りになっていた。
逆打ちといって、死んだ者の年齢の数だけ逆に回ると死者が蘇るという。
そして、ちょうど今が16回目のお遍路だった。
「黄泉の国が開いたら、死んだ者たちが肉体を持って、この世に帰って来る」
◆・レビュー
第1回ミス東京ウォーカーに選ばれた「栗山千明」の映画デビュー作である。
まだモデルの活動が多く、これから磨かれる原石のような存在で、セリフも少なく、
あどけない表情で精いっぱいの演技で役柄をこなしているのが印象的だ。
四国は死国に繋がるという。死者の国との境界線が無くなると四国が死者の国になり
、現世とあの世のバランスが崩れてしまう。死んだはずの者が蘇り肉体を持ち現世に
充満する様子を想像すると怖いが、実際は大人になれずに未練を残して死んでいった
少女の悲哀と、娘を想う母の想いをベースにした男女と親子の愛の深さを表現した物語
なのだ。観る人によっては、現実を受け入れようとせずに世間に迷惑をかける、我がまま
身勝手な困った母親と娘の初志貫徹ホラードラマに見えるかもしれない。
大人になって自分の夢や希望が叶った人はごく少数で、チャンスさえ掴めず、
チャレンジも出来なかった人も居る。対比したら、あまりにも不平等な運命であるが、
運命とはそういうものだ。
死んでも好きな人と一緒に居たいという莎代里の願いは、普通は成就されない類の
物だが、文也は莎代理の情念に負けて願いを受けいれてしまう。現世に生きた人間として
存在し、肉体的にも結ばれた比菜子ではなくて、すでに死んでおり黄泉の国から来て再び
帰る莎代里を選んだのである。そのような選択をすれば、自分がどうなるかも判っている
はずなのにだ。莎代里への愛情の方が強かったのだ。
2人は黄泉の国で結ばれるのだろうが、この世に未練を残した霊に魂を引き寄せられ、
取り込まれてしまったわけで、本当は怖い話なんだけれども、怖さよりも、純真さや清々しさを
感じるように仕上げた点を評価したい。
実体化した少女の霊が、眼を釣り上げて口から血を滴らせて「呪ってやる~」と言って
迫ってきたら怖いが、まだあどけない栗山千明は実体化しても全然怖くない。
「そうか、そうか、よしよし、オジサンが願いを叶えてあげよう。ホレホレ、こっちへおいで」
等と手招きして良からぬ事を企む人も居るだろう。
★・点数 80点
監督 長崎俊一 脚本 万田邦実 仙頭武則 原作 坂東眞佐子(角川文庫)
出演 栗山千明 根岸希依 大杉漣 筒井道隆 夏川結衣
諏訪太朗 神津はずき 佐藤充
主題歌 「僕は雨となり星となる」米良美一 作詞 かの香織 作曲・編曲・門倉聡
協力 愛媛県野村町惣川地区 八ツ鹿保存会 佐川町立青山文庫 船渡の森三島神社
◆・ストーリー
故郷へ帰省した明神比菜子(夏川結衣)は、親友だった日浦莎代里(栗山千明)の
死を知らされる。祭りで再会した幼馴染の秋沢文也(筒井道隆)との友情が愛情へ発展
していく中、死んだはずの莎代里の霊が現れ、やがて村内でも次々と霊的現象が発生する。
日浦家は特殊な能力を持った家系で、莎代里の母親(根岸希依)が、16歳で死んだ
莎代里を黄泉の国から復活させようと、危険な儀式を行っていたのだ。
深夜、日菜子と文也が日浦家を訪れると、ふすま15枚に、1枚毎に88枚、
四国88ヶ所のお寺の御札が貼ってあったが、寺を回る順番が逆回りになっていた。
逆打ちといって、死んだ者の年齢の数だけ逆に回ると死者が蘇るという。
そして、ちょうど今が16回目のお遍路だった。
「黄泉の国が開いたら、死んだ者たちが肉体を持って、この世に帰って来る」
◆・レビュー
第1回ミス東京ウォーカーに選ばれた「栗山千明」の映画デビュー作である。
まだモデルの活動が多く、これから磨かれる原石のような存在で、セリフも少なく、
あどけない表情で精いっぱいの演技で役柄をこなしているのが印象的だ。
四国は死国に繋がるという。死者の国との境界線が無くなると四国が死者の国になり
、現世とあの世のバランスが崩れてしまう。死んだはずの者が蘇り肉体を持ち現世に
充満する様子を想像すると怖いが、実際は大人になれずに未練を残して死んでいった
少女の悲哀と、娘を想う母の想いをベースにした男女と親子の愛の深さを表現した物語
なのだ。観る人によっては、現実を受け入れようとせずに世間に迷惑をかける、我がまま
身勝手な困った母親と娘の初志貫徹ホラードラマに見えるかもしれない。
大人になって自分の夢や希望が叶った人はごく少数で、チャンスさえ掴めず、
チャレンジも出来なかった人も居る。対比したら、あまりにも不平等な運命であるが、
運命とはそういうものだ。
死んでも好きな人と一緒に居たいという莎代里の願いは、普通は成就されない類の
物だが、文也は莎代理の情念に負けて願いを受けいれてしまう。現世に生きた人間として
存在し、肉体的にも結ばれた比菜子ではなくて、すでに死んでおり黄泉の国から来て再び
帰る莎代里を選んだのである。そのような選択をすれば、自分がどうなるかも判っている
はずなのにだ。莎代里への愛情の方が強かったのだ。
2人は黄泉の国で結ばれるのだろうが、この世に未練を残した霊に魂を引き寄せられ、
取り込まれてしまったわけで、本当は怖い話なんだけれども、怖さよりも、純真さや清々しさを
感じるように仕上げた点を評価したい。
実体化した少女の霊が、眼を釣り上げて口から血を滴らせて「呪ってやる~」と言って
迫ってきたら怖いが、まだあどけない栗山千明は実体化しても全然怖くない。
「そうか、そうか、よしよし、オジサンが願いを叶えてあげよう。ホレホレ、こっちへおいで」
等と手招きして良からぬ事を企む人も居るだろう。
★・点数 80点
2011-07-31 00:12
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