ウルトラマン 第30話 「まぼろしの雪山」 [ウルトラマン]

◆・第30話 まぼろしの雪山

監督 樋口祐三  脚本 金城哲夫  特撮 高野宏一

出演 ムラマツキャップ(小林昭二) ハヤタ(黒部進) アラシ(石井伊吉)
    イデ(二瓶正也) フジ(桜井浩子)

ゲスト出演 富永幸子 山本康 近衛敏明 伊藤実

伝説怪獣ウー

協力TBS東丸山スキー場

◆・ストーリー

 飯田山は夏でも雪が積もる幻の雪山と呼ばれていた。
雪女の娘と噂されて独りぼっちの少女ゆきは「雪ん子」(富永幸子)と呼ばれ、
差別とイジメにあっていたが、まるで彼女を守るように怪獣が現れて暴れ始めたのだ。
科特隊も応戦するが効果が無い。やがてウルトラマンが登場したが、闘いの途中で
ウーは消えてしまう。そして「雪ん子」も居なくなってしまった。
ウーも雪ん子も本当に実在していたのか誰にも判らなかった。


◆・レビュー

 「ウー」は善悪で判断出来ない怪獣である。「雪ん子」と連動しているような存在で、
出現には、イジメと差別に対する戒めと懲罰の意味合いが強く感じられる。
「ウー」と「雪ん子」双方とも、力が無く、抵抗しても逃れる事が出来ない運命の者を
代弁しているのではなかろうか。
 それは「沖縄の置かれた立場」を暗示するようにも受け取れる。そのような内容を、
このようなシナリオに置き換えて金城哲夫が書いたように感じるのだが、もし、そうならば、
その思考法は根本的に間違っているのは、地政学と軍事バランスの現実が証明している。

 むしろ、今、改めて見直すと「イジメと差別」の問題の方に、強く関連してくるように感じる。
「雪ん子」は、人里に出てきて皆と一緒に仲良く暮らそうとしても、いじめられて、また山へ
帰ったのならば、この少女も、ウーも負けてしまった事になる。それでは、ただ同情を集める
だけで、何も改善されないのだ。新たな「ウー」が各地に出現しても不思議ではない世相が
長年続いているのだから、黙って大人しく引き下がるようなストーリーは、子供向けの人気
ドラマだからこそ、非常に好ましくないと思う。

 このような敗北者としての終わり方をするならば、このような解釈が可能なテーマを
取り上げるべきではない。「イジメと差別」は昔からあったのだから、金城哲夫にはシナリオを
書くときに思慮して欲しかった。

 ゲストに「山本康」と「近衛敏明」が再度登場する。
山本康は、第11話で「ギャンゴ騒動」を起こしたのちに、更生して田舎に帰って猟師に
なったのであろうか、ここでは正義感あり過ぎの猟師として登場する。
また第13話「オイルSOS」で、製油所の所長だった「近衛敏明」は、製油所をクビになったか、
会社が倒産したか不明だが、ロッジのオーナーに転職したようだ。新東宝時代に準主役だった
ベテラン俳優とは、到底信じられないセリフ棒読みの熱演?が笑える。
やはりヤクザの親分よりも、企業の管理職やロッジオーナーの方が適役だと再認識する。

★・点数80点
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