ウルトラマン 第34話 「空の贈り物」 [ウルトラマン]

◆・第34話 空の贈り物

監督 実相寺昭雄  脚本 佐々木守  特撮 高野宏一

出演 ムラマツキャップ(小林昭二) ハヤタ(黒部進) アラシ(石井伊吉)
    イデ(二瓶正也) フジ(桜井浩子)

ゲスト出演 小宅雅治

メガトン怪獣スカイドン

◆・ストーリー

 ある日、東京、晴海の埋め立て地に空から怪獣が降ってきた。
体重20万トンという超重量級の怪獣「スカイドン」である。
スカイドンは、こちらから手を出さなければ何もせず眠っているだけだが、
科特隊はなんとか宇宙へ送り返そうと様々な作戦を実施する。
しかし全て失敗し、ウルトラマンも怪獣のあまりの重さに有効ではない。


◆・レビュー

 この回も実相寺監督らしく「日常生活」の流れの中から物語は始まる。怪獣出現の報に、
フジ隊員はネグリジェ、イデとアラシはパジャマ姿で飛び出してくる。
今回も制服を着てない所を見るとアラート態勢ではなかったのだろう。全体として、おふざけ
、おちゃらけのリラックスタイムのようなもので、いつも緊張していては心身に疲労が蓄積して
良い仕事が出来ないのだ。

 今回は、リラックスが完全に裏目に出てしまった。特にシナリオは却下、書き直しが必要だ。
体重20万トンの物体が落ちてきたら、それも晴海の埋め立て地みたいな場所だと地中に
めり込んでしまうのではなかろうか。宇宙空間から落下したのだから、東京23区、特に
中央区から下町に掛けては凄い衝撃があったのではないか。まず空へ返すという作戦は
完全に間違っている。解体、分解して地中に埋めるべきであろう。しかも、怪獣が超高空から
落下して悪戦苦闘して、空へ返す目的の作戦なのに、空自や在日米軍に連絡しないな
ど絶対に有り得ない。
 日本の空、特に厚木と横田、両基地がある首都圏の空域は、当時は在日アメリカ空軍の
完全な管理下にあったから、空を使った作戦は事前に通告する必要がある、だから米軍から
自衛隊に連絡が伝わっているはずで「自衛隊には伝えていなかった」という設定が荒唐無稽
である。

 上空に上がっていくスカイドンを演習の為に飛び立った自衛隊機(F86Fセイバー)が撃墜
するという設定も間違いだ。まず第一に、セイバーが配備された関東地区の空自の基地から
演習空域に向かう際に、東京の晴海上空を飛ぶルートがあるか疑問だし、そもそも市街地
上空で、敵対行動を取らず風船のように浮かび上昇してる物体に対して、戦闘指揮所から
発砲許可は絶対におりない。

 自衛隊の現状は、間違ったシビリアンコントロールの下で、手足をもぎ取られた状態なのに
、現場の判断で自由に武力行使出来るような誤解を与える内容は、子供向けのドラマだから
こそ、辞めるべきだ。

 脚本が佐々木守である。学生時代に全共闘系の学生運動の経験がある事で、怪奇大作戦・
第5話「死神の子守唄」では、機動隊に反感と偏見を持ったシナリオを描いたのだが、ここでは
、自衛隊に関しては無知と思われるようなシナリオを書いてしまったのが残念だ。

★・点数40点

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