恐怖劇場アンバランス 第4話「仮面の墓場」 [恐怖劇場アンバランス]

◆・第4話「仮面の墓場」

監督 山際永三 脚本 市川森一

出演 唐十郎  橋爪功  早川保 緑魔子 小野千春 三谷昇
    高野浩章  西野ツル子
 
◆・ストーリー

 舞台公演の準備と稽古に忙しい落ちぶれた劇団「からしだね」が舞台である。
芝居の稽古の最中に、主宰者「犬尾」(唐十郎)の強引な演技指導の為に白浜(三谷晃)が
落下して死亡する。死体をボイラーに入れて焼却するが、中から悲鳴が聞こえ、白浜の亡霊
騒ぎが次々と起こる。山口(橋爪功)は稽古中に、棺桶に入っていた女性が仮面を被った
白浜に見えて、パニックになって逃げ出し、洋子(緑魔子)も逃げようとするが、犬尾にナイフで
殺され、新人の「ツル」(小野千春)もまた、ボイラー内の骸骨と、犬尾がボイラーに洋子の
死体を入れるところを観てしまった為に絞め殺されてしまう。

 独りぼっちになった犬尾は、マネジャー(早川保)の観てる前で、一人芝居を創作して
演じるが、突然、舞台のバックに犬尾の少年時代の想い出の海と砂浜が現れて犬尾は
、そのまま中に入っていってしまう。

◆・レビュー

 砂浜のシーンは幼いころの想いでか、あるいは過去の世界だったのか。
それとも舞台そのものが「過去の世界」か、異次元に繋がっていたのだろうか。
一見ファンタジーの中の世界の出来事に見えるが、現世と過去が繋がっている歪みのような
場所ではなかろうか。キーワードなっているのが「義眼」だが、義眼は犬尾の幼い頃の砂浜
での思い出であり、また宝物として自分の心の中に存在し続けているのだ。

 「メクラ」「キチガイ」「片目」と放送禁止用語が連発されるが、物語の内容とストーリー展開を
観れば、極自然な成り行きで使われている事が判るし、他に適切な言葉や表現も見当たらない
のだから、そのまま受け入れるのが自然だ。

 最高、最大の見所は、途中から独りぼっちになった「唐十郎」の一人芝居が演じられるシーン
である。まさに一人舞台、圧巻と言わざるを得ない。ライブの舞台ではなくテレビ画面を通じて
なのに、その天才的な表現力と迫力に、観ている者は当たり前のように引き込まれていく。
即興でリハーサルなのに、まるで大勢のお客の前で演じているような「唐十郎」の、
この一人芝居のシーンだけでも観る価値があると断言しても過言ではない。

 まだ若いが実力派の「橋爪功」「緑魔子」「三谷晃」が弱小劇団員の一員として見応えのある
役どころを演じているが、彼らの劇団員としての経験が、そのまま自然な演技に繋がっている点
を見逃さないように。そして脚本が故市川森一である。

★・点数・100点
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