宇宙からの脱出 [宇宙]

宇宙からの脱出(1970年)

監督 ジョン・スタージェス  脚本 メイヨ・サイモン

出演者 キース博士(グレゴリー・ペック) ロイド(ジーン・ハックマン)
    プルイット(リチャード・クレンナ) ドハティ(デヴィッド・ジャンセン)
    ストーン(ジェームズ・フランシスカス)

◆・ストーリー

宇宙での有人飛行調査の為に打ち上げられたアイアンマン1号に搭乗した3人の飛行士
たちは順調に予定の作業をこなしていた。5ヶ月後、NASAは、船外活動での動作や言動、
体調データ、ビデオ映像などの分析から乗組員の疲労が蓄積し、能力が限界に達すると
判断して帰還を命じるが、そこで重大なトラブルが発生し、このままでは地球に戻れない
事態となってしまった。
 地上では救出ロケットを出す準備をするが、巨大ハリケーンの来襲によって打ち上げが
妨害されてしまう。徐々に減少する酸素、3人の乗組員は、なす術なく死を迎えるのだろうか。


◆・レビュー

 CGもVFXもない時代に宇宙空間と宇宙船と飛行士の各種活動の映像を、
リアリズムを追求して制作したという点では傑作といえよう。NASAの管制センター、
職員の行動、宇宙船の機能に関する映像、飛行士の活動手順など忠実に再現している。

 トラブル発生後、飛行士も職員も、家族も、ドハティ(デヴィット・ジャンセン)を除いては
実に冷静である。もし日本でこのような作品を制作したら、多数が初っ端からパニックに
なるか、大声を張り上げて怒鳴ったりするシーンが演出されると思う。
 しかしここでは、深刻な様子を各人の顔の表情や眼つきで演出しているのが興味深い。
パニックになりやすいとされている白人が、このような本当に深刻な状況では冷静に
振舞えるのが面白い。 しかし時間の経過と共に事態がさらに悲観的になるに連れて
冷静さが失われていくが、これもまた人間の精神の限界を上手く表現した演出といえよう。

 大統領から責任者のキース博士(グレゴリー・ペック)に電話が入る。
「君のやり方では国民が納得しない。データと計算上の話は別にして、救出作戦を期待
している。出来るだけの事をやって欲しい」
「アポロ13号」の時と同様に、これもまた政治的な発言である。
 考え付く限りのやるべき事はすべてやったが、後は神の祝福が無かったか定められた
運命だったという言い訳と結論が、国民向けにすでに用意されていると考えて良いだろう。

 宇宙船の中の残りの酸素量を計算すると、3人分の酸素は無いが、2人分なら大丈夫
という数字が出て来る。プルイット(リチャード・クリンナ)は、修理という名目で船外へ
出て行き、自ら偶発的なミスを起こしたふりをして犠牲となる。2人を助けるために1人が
犠牲になる。アメリカのパニック物や戦争物の映画にはよく出てくる光景である。
 生死の掛かった緊急事態の時に、英雄的な行動と決断が求められた時に、それを実行
してしまうのだから、アメリカ人は英雄になりたいと言う精神が根本的に備わっているのだ。
この作品を観ていると、アメリカ人と宇宙開発は上手くマッチしているように感じる。

◆・追記

今、改めてこの作品を見ると豪華キャストである。
グレゴリーペック、 ジーンハックマン、 デヴィッドジャンセン。皆、テレビや映画で
大活躍だが、他の2人も「リチャード・クレンナ」はランボーシリーズで、
またジェームズ・フランシスカスは「続・猿の惑星」で存在感のある役を演じている。

★・点数40点


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