宇宙戦争(オリジナル版) [宇宙]

宇宙戦争(1953年)

監督 バイロン・ハスキン  脚本 バーン・リンドン   
原作  H・Gウエルズ   制作ジョージ・パル

出演 ジーン・バリー  アン・ロビンソン

◆・ストーリー

 火星人は破滅しつつある火星から移住する惑星を狙い、太陽系の惑星の中から、
地球に狙いを定めて、侵略のチャンスをうかがっていた。
火星が地球に接近した年のある日、カリフォルニアの田舎町に隕石が落下し、街中が停電、
電話も通じず時計も止まってしまう。時を同じくして、世界中に隕石が落下、中から現れた
火星人のマシーンによって、地球人に対する無差別攻撃が始まった。
 通常兵器も水爆も通用しない。脱出した博士が逃走中に入手した「レンズと血液」が
人類生き残りの惟一の希望だった。研究所、科学者による分析が進むが、火星人の攻撃を
受けて街中がパニックとなり、アメリカ名物の暴動と略奪が行われる中、避難する大学研究所
のバスも強奪されてしまい、一縷の望みも潰えたかに思われた。
予測された数字では、地球が征服されるまで7日間しかないという。


◆・レビュー

 原作に出て来る3本脚のマシーンではなくて、UFOを思わせる飛行体が、人類殲滅の
機械として登場する。このマシーンのデザイン、色彩感、共に素晴らしい。
上から吊っているピアノ線がハッキリと見えるが、マシーンの黒を基調とした中で、
「青・赤・グリーン」が鮮やかで奇麗、見事なコントラストを出している。
それに加えて、隕石から出て来たり、移動する時の効果音、じっくり、ゆっくり飛行する姿が
不気味さ満点で実に素晴らしい出来栄えといえよう。

 牧師が火星人と話し合おうと試み、近付いて熱線で消滅されるシーンは感動的である。
この作品の中で、最も感動する瞬間である。消滅する楽しい映像は無いものの、キリスト教や
イエスの力で物事が解決するなどという妄想が通じなかった瞬間なのだ。
 人類の間でさえ、信仰する宗教や、宗派が異なるだけで戦争に発展するのだから、
人生観や価値観の異なる相手に対しては、宗教など全く役に立たない無力な物と気付かない
行動を見て、宗教に狂った者の愚かさや恐ろしさを、ここでは学習出来るのだ。

 この牧師といい、白旗を上げて近付いた3人のバカ者といい「話せば判る」のではなくて
「初めから話が通じない相手も居る」事を知らなければならないのだが、知った時には、
すでに遅かったという事だ。

 トラックを運転する博士が街中で暴徒に襲われるが、よく考えてみれば、あの場所にいた連中は
逃げ遅れた集団であり、もっと激しい暴動があったかも知れないのに、皆、元気モリモリで、
暴れて略奪している。マシーンが直前に迫り、生命の危険があるのだから、略奪するよりも逃げる
方が先決だと思うのだが、それほど貴重品とも見えない物を持っていくのは笑えるではないか。

 宇宙人が地球を本格的に侵略するというSF映画では定番のようなテーマの作品だが、
HGウエルズの原作を下地にした「地球侵略物のSF映画の原点&古典」ともいえる傑作として
高く評価したい。

★・80点
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