恐怖劇場アンバランス 第1話 「木乃伊の恋」 [恐怖劇場アンバランス]

◆・第1話「木乃伊の恋」

監督 鈴木清順  脚本 田中陽造  原作 円地文子

出演 大和屋竺 渡辺美佐 川津祐介 浜村純 

◆・ストーリー

 地中から鐘が鳴っている音が聞こえた正次(川津祐介)は、地面を掘ってみると、
入定してミイラになった名僧が出てきた。蘇ったミイラは入定の定助(大和屋竺)
「生き仏の蘇り」と思われたのが、働かず、食欲と性欲だけが盛んな色キチガイと化していた。
若い未亡人との間でSEX三昧を繰り広げた挙句に子供を作ったが、産まれてきたのは、
2人そっくりの小さい男女の淫乱極まりない菩薩だった。

 この物語は、江戸文学書「春雨物語」の話で、布川教授(浜村純)から口述筆記していた
教え子(渡辺美佐)は、廃墟の跡地で不思議な体験をする事になる。

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恐怖劇場アンバランス 初めに [恐怖劇場アンバランス]

★・恐怖劇場アンバランス・初めに

 「心臓の弱い方は、お1人で見るのは御遠慮ください」という冒頭の言葉。
オドロオドロシイ面もあるし、番組制作当時としては観る者に嫌悪感と拒絶感を与える描写も
あったようだ。しかし内容を観れば完全なホラーというよりは、ミステリーやサスペンスの要素
もかなり入っているのが判る。またストーリーテラーの「青島幸雄」の穏やかな口調の語りかけ
が恐怖感を和らげる効果があり、お茶の間に受け入れられる雰囲気を醸し出している。

 世の中というのは、不公平で均整がとれていない不合理な世界のように見える。
(つまりアンバランスな世界である。)このドラマの中では、それを修正するには、最終的に
誰かが犠牲になるか、自業自得の形で自滅するか、あるいはリスクを負ったり、負の連鎖が
起こる事によってバランスが保たれるのではないかという解釈がされているようだ。
そこから生じる結果に関しては、正義や善悪と決定づける物ではなく、観ている人の判断に
委ねられている。

 全13話の各回の出演者の豪華な顔触れに驚く。主役、脇役を問わずに、男女とも制作当時の
時点で、すでに役者としてそれなりに高い評価を得ていたばかりか、制作後、30~40年後でも
テレビや舞台の第一線で活躍している面々である。

 今、改めて観ると、テレビで育ったアイドルタレントや、歌手崩れや有名人ではなくて、
映画会社のニューフェイスとして採用されたり、演劇、舞台の世界で、本格的に演技の勉強を行い
、監督やスタッフや先輩によってビシッと鍛え上げられた、本当の本物のプロフェッショナルの
役者達の凄みが伝わって来て、その表現力、演技力に圧倒されてしまう。

「金を払ってみる価値のある演技&表現力」と言っても過言ではない。

 そして監督陣も素晴らしい。「鈴木清順」「藤田敏八」「神代辰巳」「長谷部安春」
「黒木和夫」「鈴木英夫」といった、名前を聞いただけで作品の何本かを即座に思い浮かべる程の
名作を残した、映画界で実績のある名監督が勢ぞろいしている。

 原作者には「円地文子」「西村京太郎」「松本清張」「二木悦子」といった著名な作家の名前も
見られるが、残念な事に、ホラーではなくてサスペンスドラマ的な要素が全面に出ており、
本格的なホラー作品もしくは「恐怖劇場」の題名に相応しいとは言い切れない回もある。

 全体の傾向として、いたずらに恐怖や怨念や不気味さをクローアップするのではなく、何気ない
日常生活に潜んでいて人間社会に渦巻く、様々な不合理や理不尽や障壁に対する怒りと不満が
ベースになっているテーマが多いのも特徴である。
そのような企画と演出と配役の成果が見事に集約されており、全作品が、それなりに見応えの
ある内容に仕上がっており、どれを気に入るかは各自のお好み次第である。

★・追記★・  ただし、題名だけで作品の内容を判断するのは好ましくないと断言しておく。 例えば、【 第7話・夜が明けたら】 【 第10話・サラリーマンの勲章 】 は、 社会派ドラマとして見ても、素晴らしい作品に仕上がっている。
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