怪奇大作戦 第1話「壁抜け男」 [怪奇大作戦]

◆・第1話「壁抜け男」

監督 飯島敏宏  脚本 上原正三  特撮 的場徹
出演 田口計 岩本多代 本田三千雄

◆・ストーリー

 仏像や財宝を予告通り盗む世紀の怪盗キングアラジンが現れた。
警察は為す術もなく犯行を阻止出来ず、追跡して追いつめてもあざ笑うかの
ように壁抜けの術で逃げられてしまう。
 
 その正体は、水中箱抜けに失敗して笑いものになり消息を絶った天才奇術師
「一鉄斎春光」だった。春光は、失敗した時の精神的なダメージの影響で、
半ば狂人と化してしまっており、箱に入り湖底にいると観客の喝采の幻聴が
聞こえるまでになっていた。
 やがて正体がばれて警察とSRIに追いつめられ、水中箱抜けの技を使って
逃げるが、水深50mの水圧に耐えきれず箱が潰れて敢え無く最期を遂げる。
◆・レビュー

 キングアラジンは、壁や床をゆっくりと沈んでいくように見えるのだから
簡単に捕まえられるはずなのに、警察官はピストルを抜いて構えているにも
関わらず、ただ驚き怖がるだけなのだ。せめて警棒で叩くとか出来ないのだろ
うか。まったく頼りない警察官ばかり出てくるのにはまいる。
この第1回に象徴される「情けない警察官」の姿は番組全編を通して描かれ
ており、これでは街の治安が心配になってしまう。

 キングアラジン(春光)による一連の犯罪は盗むのが目的ではなくて、
トリックを駆使して次々と財宝を盗み、まんまと逃げ延びる事で、自分を嘲笑
した世間を見返し、奇術師としての才能と実力を誇示する事だったのではない
だろうか。ただ残念なのは、それが犯罪行為だった事だ。
 たとえ幻聴とはいえ、自分の耳には観衆の喝采が聞こえて祝福された自己満足
の世界に浸って最期を迎えたのだから、ある意味「春光」は奇術師として幸福な
死に方だったのかもしれない。

 江戸川乱歩の作品の題材になりそうなストーリー展開と犯罪者の設定だが、
おそらく参考にする為に読んだとされている乱歩の作品から受けた影響が出たと
思われる。
 この第1話は、怪奇大作戦のスタートを飾るに相応しい内容で「壁抜け」を
鮮やかに映像化した特撮技術とキングアラジンを演じた「田口計」の熱演等、
十分に見応えのある内容だったと高く評価したい。
「キングアラジン」「一鉄斎春光」という名前の響きも良いではないか。

「サインはⅤ」で選手寮のオヤジさんの役で出演していた本田三千雄が手品師
の役で登場するが、これが意外と格好いいのだ。

★・点数 100点 
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