エコエコアザラク TV版 第8話「めまい」 [エコエコアザラク]
第8話「めまい」
監督 上野勝仁 脚本 馬場園子
出演 佐伯日菜子 中島陽典 徳永廣美
荻原政樹 つじしんめい
協力 coffee北欧 ロケ地 隅田川
◆・ストーリー
フォトグラファーの内田(中島陽典)は事故後に記憶喪失になり、
仕事が上手くいかずに昼間は悶々とし、夜中は悪夢にうなされる日々が続いていた。
自分の記憶を取り戻すために、深夜外出した妻の綾(徳永廣美)を尾行すると、
マンションの一室にある事務所に辿りついた。
綾が何かを隠していると睨み追求したところ驚愕の事実を知る事になる。
内田は、自分が行った人道に外れた忌まわしい過去の記憶を思い出し、自責の念に
駆られて運命の決断をする。
◆・レビュー
怖い話ではなく、親友を妬み愚かな願望を達成したが報われなかった男の悲しい物語で、
ストーリー全体が悲哀に満ちており、人間としての良心と倫理観が試される内容となっている。
内田の心情が理解出来る人と出来ない人に分かれると思う。親友への嫉妬心に加えて自分の
願望や夢をどうしても叶えたいと思う中、それが可能となる方法が見つかった時に、人間は
どうするだろうか?
近頃流行って居る「夢は必ず叶う」等、純真な子どもの頃の話であり、成長して大人になれば
「夢はあくまでも夢であり、現実は違う事を受け入れざるを得ないのだ。だから大人になってから
、夢が実現する誘惑の前には、手段を選ばず、悪魔に魂を売り渡しても構わないと思う人が
現れても不思議ではない。しかし、親友を殺してまでも、親友の持っている全てを手にする。
写真家としての才能を引き継ぎ、地位や名誉を、そして愛する妻までも手に入れることへの
後ろめたさが心中にあったのではなかろうか。
だから契約書を燃やして、自ら消滅の道を選んだのだ。それは、まだ人間らしい心が僅かでも
残っていた証である。
写真家としてスランプに陥ったのは、才能や体調に問題があったのではなくて、
「良心があった」為で、天罰や因果応報ではなくて、良心によって記憶喪失もスランプも悪夢も
招いたと解釈したい。初めから悪魔にでも魂を売り渡して望みを叶えて生きていく選択をしては
いけない存在であり、それが人間本来の生きる道標だと伝えているようだ。
内田が事実を知ってから、後悔しながらもぬくぬくと生きていくのではなくて、消滅の道を選ぶ
気持ちは十分に理解できるし、自分の犯した行為の報いを受ける態度には、清々しさを感じ
救われたような気分になる。
しかし最大の犠牲者は妻の綾である。2人の男性に対して献身的に使えてきたのに、
一人取り残されてしまう。自分の意思に関係なく、決められた運命に従う妻の役を徳永廣美が、
感情を込めて実に上手く表現しているので注目したい。
内田は男性の視点から、綾は女性の視点と、男女両方の視点に立っての感情移入が可能で、
「実は、悲しい哀れな男性の物語だけではなく、悲しい男女の物語」なのである。
単なるホラードラマではなくて、人間のあるべき姿とは何か、また、男女の生き様の一端に触れた
内容の秀作として高く評価したい。脚本を担当した「馬場園子」による、女性ならではの視点から
見た力作といえよう。またラストのBGMが悲哀感を強める上で実に効果的である。
★・点数100点
監督 上野勝仁 脚本 馬場園子
出演 佐伯日菜子 中島陽典 徳永廣美
荻原政樹 つじしんめい
協力 coffee北欧 ロケ地 隅田川
◆・ストーリー
フォトグラファーの内田(中島陽典)は事故後に記憶喪失になり、
仕事が上手くいかずに昼間は悶々とし、夜中は悪夢にうなされる日々が続いていた。
自分の記憶を取り戻すために、深夜外出した妻の綾(徳永廣美)を尾行すると、
マンションの一室にある事務所に辿りついた。
綾が何かを隠していると睨み追求したところ驚愕の事実を知る事になる。
内田は、自分が行った人道に外れた忌まわしい過去の記憶を思い出し、自責の念に
駆られて運命の決断をする。
◆・レビュー
怖い話ではなく、親友を妬み愚かな願望を達成したが報われなかった男の悲しい物語で、
ストーリー全体が悲哀に満ちており、人間としての良心と倫理観が試される内容となっている。
内田の心情が理解出来る人と出来ない人に分かれると思う。親友への嫉妬心に加えて自分の
願望や夢をどうしても叶えたいと思う中、それが可能となる方法が見つかった時に、人間は
どうするだろうか?
近頃流行って居る「夢は必ず叶う」等、純真な子どもの頃の話であり、成長して大人になれば
「夢はあくまでも夢であり、現実は違う事を受け入れざるを得ないのだ。だから大人になってから
、夢が実現する誘惑の前には、手段を選ばず、悪魔に魂を売り渡しても構わないと思う人が
現れても不思議ではない。しかし、親友を殺してまでも、親友の持っている全てを手にする。
写真家としての才能を引き継ぎ、地位や名誉を、そして愛する妻までも手に入れることへの
後ろめたさが心中にあったのではなかろうか。
だから契約書を燃やして、自ら消滅の道を選んだのだ。それは、まだ人間らしい心が僅かでも
残っていた証である。
写真家としてスランプに陥ったのは、才能や体調に問題があったのではなくて、
「良心があった」為で、天罰や因果応報ではなくて、良心によって記憶喪失もスランプも悪夢も
招いたと解釈したい。初めから悪魔にでも魂を売り渡して望みを叶えて生きていく選択をしては
いけない存在であり、それが人間本来の生きる道標だと伝えているようだ。
内田が事実を知ってから、後悔しながらもぬくぬくと生きていくのではなくて、消滅の道を選ぶ
気持ちは十分に理解できるし、自分の犯した行為の報いを受ける態度には、清々しさを感じ
救われたような気分になる。
しかし最大の犠牲者は妻の綾である。2人の男性に対して献身的に使えてきたのに、
一人取り残されてしまう。自分の意思に関係なく、決められた運命に従う妻の役を徳永廣美が、
感情を込めて実に上手く表現しているので注目したい。
内田は男性の視点から、綾は女性の視点と、男女両方の視点に立っての感情移入が可能で、
「実は、悲しい哀れな男性の物語だけではなく、悲しい男女の物語」なのである。
単なるホラードラマではなくて、人間のあるべき姿とは何か、また、男女の生き様の一端に触れた
内容の秀作として高く評価したい。脚本を担当した「馬場園子」による、女性ならではの視点から
見た力作といえよう。またラストのBGMが悲哀感を強める上で実に効果的である。
★・点数100点
2012-06-09 13:24
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