ウルトラQ・第10話「地底超特急西へ」 [ウルトラQ]

第10話「地底超特急西へ」 

監督 飯島敏宏  脚本 山浦弘靖  特殊技術 的場徹
出演 佐原健二 桜井浩子 西條康彦
ゲスト出演 塚本信夫 石川進 大塚周夫 山村哲夫 M1号(中村春吉)

◆・ストーリー

 東京~大阪~北九州を最高時速450K、3時間で走る超特急「いなづま号」が
披露され公開試運転に出るが、報道陣になり済まして乗り込んだ一平が誤って
持ち込んだ人工生命体が成長して操縦室を乗っ取ってしまう。



◆・レビュー

 ラストは人工生命体に操縦室を乗っ取られた「いなづま号」の停止作戦の結果、
人工生命体と保管室が宇宙空間まで飛び出して地球の周囲を回るというマンガ
チックな終わり方だが、子供向けのSFドラマという尺度で見れば、これはなかなか
味のあるラストシーンだと思う。
 超特急は破壊炎上し、子供と人工生命体は宇宙空間へ飛ばされ、救出の見通しも
ない(おそらく)のだから、本来は悲劇的な出来事なのに、ユーモラスな展開によって、
暗い雰囲気が漂わないエンディングになっている。これらのストーリー展開は、石川進
の超特急のトボケタ機能説明を交えた、ハラハラしつつもコミカルな構成で面白いのだが
、なぜ理解不可能な話が入って来るのだろうか?

 仮に当時のチェック体制がずさんであったとしても、報道関係者を招待した
公開試運転で、記者証も、取材許可証も、チケットも持っていない一般客が「超特急」に
乗り込めるなんて有り得ないのに、相当に無理なシチュエーションの話になっている。
普通は受付か入場ゲートで所属会社と招待状のチェックがある。
衣服の目に見える場所にIDカードあるいは許可証を掲示するよう求められる。
そして座席指定ならば、当然だが乗車券が用意される。
「地球最後の超特急」ならば、顔パスで乗車なんて尚更不可能なはず。

 戸川一平は客の荷物を間違えて持ち出した挙句に勤務時間中にサボって超特急に
不正乗車して事故の原因を作ったのだから、会社は懲戒免職になるだろうし、
鉄道当局からの莫大な損害賠償請求、そして刑事と民事の両方で告訴されるという
悲惨な運命が待っているのだが、そういった事にも触れないと子供の教育上良くない。

生意気で悪知恵が働くガキが不正乗車した挙句に脱出できずに取り残されても、
自業自得であり、全く同情の余地はない。何かにつけて「江戸っ子」と、鼻息荒く
いきがるのも鼻に着くが、今から40年以上も前の世相や町人の価値観や人生観の
一端が表現されている。

◆・点数50点
nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。