カプリコン Ⅰ [宇宙]

「カプリコンⅠ」 (1977年アメリカ)

監督&脚本 ピーター・ハイアムズ

出演 エリオットグールド ジェームズ・ブローリン ブレンダ・バッカロ
    サム・ウオーターストン ハル・ホルブロック  OJ・トンプソン
    テリーサバラス  カレン・ブラック

◆・ストーリー

 人類最初の火星探査船が飛び立とうしていたが、出発直前に緊急事態が発生して
3人の飛行士(ジェームズ・ブローリン、OJトンプソン、サム・ウオーターストン)は、
外へ連れ出され、火星表面と着陸船のセットにテレビカメラがある場所へ監禁されてしまう。
政治的な理由により中止や延期には出来ない為に、壮大な捏造工作が行われる事になる。
背後には巨額な宇宙開発予算を確保する為の国家的な陰謀があったのだ。
「捏造の火星探査」は、順調に進行していたが、地球帰還の大気圏突入の際にトラブルが発生
3人とも死んだ事にされてしまう。身の危険を感じた3人は絶望的な逃走にでる。

◆・レビュー

 SFドラマというよりはサスペンス的な要素が非常に強い作品になっている。
火星探査のSF的なシーンは皆無で、放送記者(エリオットグールド)による、
火星探査に疑惑を持ったNASAの友人の失踪がらみの事件の真相追及と、
3人の宇宙飛行士の逃走劇に大幅にウエイトがおかれている。

 70年代のベトナム戦の挫折、大統領の陰謀発覚などによって世間に高まった、
アメリカの威信喪失と価値観への疑問の影響を極めて強く受けた作品とされているが、
その辺りがSFよりもサスペンス的な要素が強くなった要因と考えられる。

 宇宙開発には巨額な費用がかかる。失敗や中止は予算削減の格好の理由となってしまう。
だから捏造するというわけなのだろうが、それで予算削減という方向に行く政治勢力と思考
傾向こそ批判されるべきで、科学の発展や未知の世界への探求を優先するためには、
このようなシナリオの作品は決して好ましいものとは思わない。どうしても国家による捏造や
陰謀というテーマで映画を作りたいのならば、それらは政治やビジネスの世界で十分に可能
なのだから、何も宇宙開発を取り上げて作らなくても良さそうなものだ。
これでは人類が内向きの社会になってしまう。旧ソ連のような体制の国家ならいざ知らず、
アメリカのような国では現実的に、このような火星探査の捏造工作は非現実的ではなかろうか。

 この作品を通じて、メディアで報じられた政治面での各種陰謀が、月面着陸さえも捏造で
国家的な謀略という説に発展してしまう所に、アメリカ社会とアメリカ人の単純細胞の持ち主
たちの短絡的な発想の異常性を垣間見る事が出来ると思うがどうだろうか?

 農薬散布用の旧式の複葉機と、2機のヘリによる超低空でのバトルは見応えがある出来に
仕上がっているので注意されたい。制作されたのが1977年だったのを思うとよく撮れており
、このシーンはぜひ映画館の大きなスクリーンで見てほしい。迫力が全然違うはずだ。
また2機のヘリが探索の際には、機械ではなく自分で意思をもった生物のような動きを見せる
のも不気味に感じる効果があると思う。

★・点数60点
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