・エコエコアザラク Bpage 後篇 [エコエコアザラク]

★・エコエコアザラク Bpage「後篇」(2006年)

監督 太一  脚本 天野裕允 太一

黒井ミサ(今野成美) 
リョウ(高木りな) ミリス(秋山莉奈)鈴木冴子(柳沢なな)ワタル(梅澤詩音)
医師(野村宏信) 神父(篠井英介)教団リーダー(IZUM)

エンディングテーマ「CRAZY FOR YOU」 セイレーン

協力 稲城市役所 黒川東観光農園 よみうりカントリークラブ
  いなぎグリーンウエルス財団  妙覚寺 東京道路公社 東京河川事務所 
稲城市押立自治会 秋山組 


◆・ストーリー

【悪魔は死んでいなかった】
1年前の謎の事故でカリスマモデルの「ミリス」は神父と同じ場所で死んでおり、
生き残ったが行方不明となった「リョウ」は、縫い傷だらけの不気味な顔になり、
車イス生活を送っていた。次々起こる奇怪なバラバラ殺人事件に絡み、死んだ
はずのミリスが生きている疑惑と、リョウの奇行が明らかになり世間を騒がせる
展開になっていた。
そしてミサは絶対つかまらない容疑者、よく当たる占い師として祭り上げられていた。
再び教会を訪れたミサだが、リョウの魔手はミサにも及んでくる。
ミサは悪魔の侵入を防ぐために教会を中心に結界を張ったがリョウは結界の隙間
から侵入、洋子とワタルを誘拐し、結界を張った境界の外へ連れだそうとした寸前、
空からひょうが降って来て失敗し、ミサの目前で消滅する。
リョウがエゼキエルであり、これで一件落着と思われたが、その直後に破壊の悪魔
エゼキエルの本当の正体が判明する。


◆・レビュー

エゼキエルを探索するミサと、ミリスを想い続けるリョウの物語が同時進行する。
随所にリョウの回想シーンが入る。リョウにはミリスの姿が見えるのだが、実際には
妄想と幻覚による独り芝居であり、狂気の世界が展開されていたにすぎない。
2人の関係は少なくとも精神的にはレズの関係に近い物を感じるが、眼の前で愛する
人を失ったショックで錯乱し、ミリスを生き返らせることが出来ると信じている狂信者に
すぎない。縫い傷だらけの顔同様に心も荒んでしまっていたリョウにとってはミリスとの
楽しかった想い出だけが自己の存在感の証であり、生きていく為の心の支えだった
のだが、悲しい事に精神を病んでしまっていた。

明らかな精神異常者⇒【キチガイ】である。ミリスを復活させる妄想に包まれた
キチガイ女なのだ。「黒井ミサは人間の心を捨てていない」致命的な欠陥があると分析
するが、逆にミサに【エゼキエル、お前に心はないか】と蔑まれてしまう。

エゼキエルの正体が明らかになり、意外にもまだ幼児だった。見た目はワタルという
名前の幼児だが、その正体は恐ろしい悪魔なのだ。ミサが消滅させたのは、人間の
無邪気な幼児ワタルではなく、まだ未熟な段階の悪魔である。放っておいていたら
その可愛らしい容姿によって周囲を惑わし、欺き、増幅する五合星のように成長して強大
となり、皆が気がついた時には誰も止められないほどの強大なパワーを持ち手遅れに
なっていたかもしれない。そうなる前に処分したのだから、ミッション成功といえよう。

神父はエゼキエルの正体を知っていたのかもしれない。施設の周辺に結界を張ったのは、
悪魔からワタルを守る為ではなくて、ワタルを施設から出さない、出してはいけないという
決意であって、エゼキエルによる世界の破壊を防ぐためだったのではないか。
もしリョウがエゼキエルだったなら、起承転結が単純過ぎて物足りない。
幼児だった事で、よりホラー的な要素が強くなりエコエコアザラクを観た気分になれるのだ。


風の聖霊よ、第1の封印を解く。
水の聖霊よ、第2の封印を解く。
大地の聖霊よ、第3の封印を解く。
木の聖霊よ、第4の封印を解く。

 ミサが唱えると、エゼキエルは少女に変身した姿で消滅していくが、悲しげな表情と
言葉が後に残る。この作品の中で一番見応えがある場面といえよう。

佐伯日菜子の「黒井ミサ」をベースにして判断してしまうが、今野成美のミサも合格点を
与えたい。堂々とした落ち着いた雰囲気とセリフの喋り方に、時折見せる眉をひそめ相手
と対峙する表情も中々良い。無事、大役をこなしたと評価したい。魔術教団の一員として
使命を帯びた存在という位置づけなのだから、吉野公佳のような立場とは違うのだ。
出来れば、もっと冷酷で無慈悲な面があっても良かったのではないか。

 全体としてアイデアはかなり面白いのだが、前編同様この後編も、ぶつ切りのシナリオと
過剰なBGMが致命的である。

★・点数 60点
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